当院の診療について

 

『当院では、プライマリ・ケア医による総合診療を行っています』

 

こう言われても、プライマリ・ケア?総合診療?とあまり聞きなじみのない言葉がならび、よくわからないという方も多いと思います。

そこで、プライマリ・ケア医とはどういう診療を行う医師なのか簡単に説明したいと思います。

 

 

プライマリ・ケア医とは? 

 

 浅く広く診療できる医師のことを言います。

 

1. 具体的には、風邪から肺炎、高血圧、高脂血症、糖尿病、慢性心不全、けが、腰痛、不眠、パーキンソン病、うつ病、認知症など多岐にわたり診療します。

 

2. 早期発見、早期治療に努めた診療をします。ワクチン接種はもちろん、住民の皆さんの心身の状態を定期的に把握することで、変化があれば早めに対応することができます。

 

3. 病気を治療することと同様に、病気を予防すること、健康を維持することを大事にして診療します。

 

4. 病気によっては、専門家が診断・初期治療をし、薬などが安定した時点でプライマリ・ケア医が診療を引き継ぎます。症状・検査結果などを確認していき、必要があれば再度専門医に紹介します。

 

5. 継続して安定した医療が提供できるような環境作りを目指しています。たとえば、いくつかの医療機関で処方されている飲み薬や、過去から今までの採血の結果などをカルテにまとめることで、情報を共有し、継続的で安定した医療を提供できるような環境作りを目指して診療します。

 

6. さらに、その医師の経験により得意分野を持っています。

(胃カメラ、肺の疾患、心臓病、整形外科、心療内科など様々)

 

以上のようなことに着目しながら診療を行う医師を、プライマリ・ケア医と呼びます。

 

 

総合診療とは?

 

 『治療を受けるのは「あなた」であって、「心臓」や「ひざ」ではありません』・・・というセリフを聞いたことはあるでしょうか?

 

病気とは個々の臓器の異常だけではなく、仕事や生活環境、人間関係など様々な原因が絡んでいます。

 

そこで、病気を治療するには各臓器に関する難しい治療を行う専門家と、人体、心理、社会的な側面を総合的に診ていく専門家が必要となります。

 

この、総合的に診ることを総合診療と言います。

 

従って、循環器内科、消化器内科、耳鼻科、整形外科、泌尿器科、皮膚科、眼科などの臓器の治療だけではなく、その人の生活、仕事などが病気に及ぼす影響をふまえて診療を行います。

 

 

プライマリ・ケア医の診療可能な範囲は? 

 

 現在の医学において、全ての診療科に精通するのは不可能です。従って、幅広く診療しつつも、病気の種類、程度などに応じて専門医と共同して診療していきます。

 

具体的に、例をあげてみたいと思います。

 

○ 高血圧:一般的な高血圧は、プライマリ・ケア医が診療します。血圧は生活やストレスなどと密接していますので、生活全般を含めた把握ができるプライマリ・ケア医が望ましいとも言えます。しかし、ある種の病気が原因で血圧が上昇している可能性もありますので、プライマリ・ケア医が診療し、血圧上昇の原因となる病気が見つかったら(症状、血液検査、画像検査でわかります)、専門家に紹介します。

 

○ かぜ:かぜというのは、ウイルスによるのどの感染をいいます。しかし、かぜと思っていたら、細菌による肺炎だったということもありますので、まずプライマリ・ケア医を受診していただき、細菌による感染が疑われたら抗生剤による治療を開始します。

 

○ 糖尿病:生活習慣により血糖値が高い状態が持続し、糖尿病を発症する場合が多いですが、それ以外にも妊娠やステロイド薬の内服などで発症することもあります。いずれにしても、生活習慣などが関係していますので、プライマリ・ケア医が診療にあたり、必要なときは専門医に紹介します。

 

○ 逆流性食道炎:胸焼けなど症状があれば相談してください。内視鏡で確認する前に、胃酸を抑える薬を内服してみて効果をみてみることも可能です。ですが、一度は内視鏡で確認することをおすすめします。

 

○ 関節の痛み:一言で関節の痛みといっても、関節リウマチ、加齢による骨の変形が原因によるもの、炎症によるものなど、さまざまです。たとえば、痛風による痛みであれば、尿酸値のコントロール、腎臓の働きを確認するなど、内科的な視点も大事になってきます。従って、まずはプライマリ・ケア医が原因を探り、必要に応じて専門家に紹介する形がよいと思われます。

 

○ けが:すり傷や指を切った、足をひねったなど、日常よく生じるけがに治療もプライマリ・ケア医が診療します。

 

 

オーケストラの指揮者のように 

 

プライマリ・ケア医による総合診療を例えて言うなら、オーケストラの指揮者に似ています。

 

指揮者がいないオーケストラを想像してみてください。一流の楽器演奏者を集めればそれなりの曲に仕上がるのでしょうが、曲全体のバランスやまとまりの欠けたものになりやすいでしょう。

 

指揮者はヴァイオリン、チェロ、フルートなど全ての楽器で一流の音を奏でることはできません。しかし、それぞれの楽器が奏でる音色を深く知ることによって、曲全体をバランスよくまとめることができます。

 

オーケストラの指揮者と同様に、プライマリ・ケア医も各診療科の扱う病気・治療法を理解する必要があります。専門家の治療を理解しながら、その人にあった医療環境を整え、その人にあった医療をバランスよくまとめようと考えます。

 

ただ、オーケストラの指揮者と違うのは、継続性にあります。その地域の住民の人々、何世代にもわたる人々を継続して診療するには、一人のプライマリ・ケア医だけでは不可能です。

 

継続性を保つためには、その人や家族、地域の医療情報を共有し、医療者が変わっても、その地域に提供される医療そのものは安定している状態を作る必要があります。そのために、記録を工夫したり、複数医師チームを構成していくことが大切です。

 

このようなことを考えながら、日々診療にあたっています。

 

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